人の優しさがあるから人は強くなれる。
歴史小説が好きで、いろんな時代の物語を読んでいます。
日本の歴史はざっと、古代、奈良時代、平安時代、鎌倉、室町、戦国、江戸、そして、幕末期から明治維新へという流れになりますが、その中で一番好きな時代は?と聞かれると決めかねます。
それぞれの時代に、それぞれがあるから。
ですが、強いて言えば、奈良時代、幕末期から明治維新にかけてです。
これらの時代は、大陸からの文化を取り入れようと活発化した時代。とくに、幕末期から明治維新にかけては、それまでの価値観を覆す時期でもあって、新旧の移り変わり方に学ぶことがたくさんあります。
価値観が変わる時期。
それは、現代の動きにも言えることですよね。
幕末から明治にかけて活躍した人たちがたくさんいます。
有名なところでは、西郷隆盛、大久保利通、坂本龍馬、勝海舟、吉田松陰、高杉晋作...事変を起こした人たちは、ドラマや小説の題材になることが多いので、名前を知っている人が多いですよね。
幕末から明治維新にかけての出来事は、とても複雑で、いろんな思惑が絡み合うので、一言で表そうとするとなかなか難しいんですよね。とくに、誰が正しかったのか、という正否で判断できない時代です。
それぞれが、それぞれに大切しているものを守りたい。
そのそれぞれが錯綜した時代だったのではないかな、と思います。
有名どころの人物像ばかり見ていると、その複雑さがあっさりしてしまうことがあって、最近では、あまり有名ではない人の物語を見つけるのも楽しみの一つになってます。
最初に有名な人の物語を読んで、概要を知り、そして、有名でない人の物語を読んで、その概要と時代背景をすり合わせてみる。そうすると、この時代の複雑さにある根底が見えてくるんです。
それが人の行動発端になっていることもあって、「なるほど」と思うことが多いんです。
というわけで、今回読んだ本の紹介をしますね。
「ひとり白虎」植松三十里著
物語は、会津藩で結成された少年部隊「白虎隊」に所属し、集団自刃を生き残った飯沼貞吉の話です。
当時16歳で、隊の中でたった一人だけ生き残ってしまった、貞吉。
そして捕虜となり、帰る家もなくし、喪失感に苛まれます。
その後、敵方であった長州人に救われ、異郷の地で暮らします。そこでの暮らしで、自分たちの戦いだけが大変だったわけではないことを知ります。
そして、人の優しさに触れながらも、自身の身の振り方を見つけられない日々が続きますが、自分が出来ることを探し出し、生き抜きます。
つらい思いを重ねながら、生き抜く。
これは一人だったら、到底できないことなのかもしれません。
人の支えがあるから、強くなれる。
人と関わるから、優しくなれる。
生きるとは、人との関わりを持ち続けること。
そんな感想を持ちました。
人との関わり方のヒントというのは、人の物語の数だけあるものなんですよね。
だから、人物像を描いた物語が好きなんだなと改めて思いました。